間違っていない情報でも「転載してください」はイクナイ!

前回の記事で、チェーンテキストは間違った情報がそのまま伝播し、訂正が不能だから良くない、と書いた。

これに対して「間違っていない情報ならばチェーンテキスト化しても良いのではないか? という人もいると思う。

しかし僕は「正しい情報ならばチェーン化しても問題ない」という考え方には反対だ。

何故なら「この情報を広める為に転載してください!」と転載を求める人は、よほど悪意を持っていない限り「自分の情報は正しい」「自分の日記を転載によって広めることは、善意に基づいて行われている」と信じているからである。

転載によって広められている日記の情報が全て誤りなわけではなく、中には「正しい且つより多くの人が知っていたほうが良い情報」もあるかもしれない。しかし、転載を求める人及びそれを転載する人の大部分は、悪意のない限り「その情報は正しい」と信じている。善意を持って転載を促す時点で、自分の情報に間違いがあることなど疑っていないし、転載する人も正しい情報と思い込んでいるからこそ、それを実行してしまうのだ。転載されたテキストに間違いがあることに気付くのは、多くの場合転載が広まってからなのだ。

僕は「転載してください」のブログ検索結果を、その表記揺れを含めてRSSリーダーに登録して観察しているけれど、転載された日記の多くは、正しくない情報であったり、転載された時点では必要のない情報だったりする。

前回の記事のコメント欄で、著作権侵害!氏がこんなことを書いている。

たとえ元記事が2年以上前の記事であっても、「転載した日」が「記事作成日」になってしまい、それがあたかも「新鮮な情報」であるかのように装われてしまうのです。
元記事の作者が、きちんと記事作成日を記事内に明記してあればよいのですが、「転載を推奨するような記事」に限って、「年月日」まで明記されているものはほとんどないように思います。

もちろん、「転載元」をたどれば、元記事作成日は判明するのですが、その記事の読者が、「同じ記事」を読むためにわざわざ「転載元」を訪れる必要はありませんよね?
さらに、元記事が削除されたり、非公開設定されたりすると、元記事をたどることさえ不可能になります。

まったく同感である。

転載された記事には「転載元」が表示されているので、誤情報の発信源を突き止められるから、発信源が分かりにくいチェーンメールとは違う、と主張する人がいる。しかし、転載日記を読んだ人のうち、いったいどのくらいの人が転載元の記事を読みにいくだろうか?

言及リンクによって広められた情報の場合、その元情報との整合性を確認する為にリンク先を読みに行く人は少なくないと思うが、転載記事の場合、基本的に転載元と転載先で得られる情報は変わらないので、転載目的以外では転載元を訪問することは少ない(Yahoo!ブログの転載機能は、オリジナル記事からのみ行うことが出来る)。転載元が誤りを訂正したところで、その訂正があったことは転載先には伝わらないだろう。仮に転載者も間違いに気付いたとしても、転載した記事は編集が出来ないので、転載先からこの情報を知った人に誤情報の訂正を気付かせるのが難しい。コメント欄で通知可能だが、コメントが多く寄せられた日記では、本文と比べてコメント欄を熟読する人は少ないと思われる。

情報源がひとつなら、その誤りを指摘し、訂正するのは難しいことではないが、チェーン化したテキストによって知識を得た人の間違いを是正することは極めて困難である。

繰り返し書いておくが。

転載によって広められる情報は、それを求める時点において、書いた本人は「正しい情報」と信じているので、「正しければチェーンテキストにしても良い」という考えは危険だ。



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