「ちゃんと読めば分かるだろ」と言う人が、その相手の文章はちゃんと読んでいない問題
……なんだよね。
以下のリンク、はてなブックマークコメントも込みで。
- 虚構新聞だからデマでも許されますって思ってる奴今すぐ死ね - 今日も得る物なし
(地蔵さん))
- [NS] いい加減、虚構新聞はタイトルに虚構新聞だと明記しろ
(あれっくすさん)
虚構新聞批判の地蔵さんとあれっくすさん、僕はお二方の意見に大筋で同意なんだけど、彼らのエントリに寄せられたコメントの中には、本気なのか冗談なのか、お二方に対して「(虚構新聞のネタに)釣られたんですね」「ちゃんと読めば嘘だと分かるだろ、騙されて怒るなよ」というような物があり、大変笑わせてもらった。地蔵さんもあれっくすさんも「虚構新聞に釣られた」事で怒っているわけではない事なんて、お二方のエントリをちゃんと読めば誰でもわかることなのだ。
よく「人は自分の見たいものしか見ない」と言うけれど、その通りだと思った。
他者に向かって「ちゃんと読めば分かるだろ」と言う人は、その相手が書いている事もちゃんと読もうよ。
話は変わって。
僕がこの件で気になったのは、虚構新聞を擁護する人の側に、「虚構新聞は明確に嘘である事を記述しているだろう」「古くからジョークサイトとして運営されているだろう」→「だからネタである事なんて分かりきっているし、嘘を書いてもいい」というような主張が見られたことだ。
ネットで冗談を書くな、とは思わないけど、「明確に嘘であることを周知しているから、嘘を書いても構わない」、とは思えない。
今回問題となったネタは、実在人物の名と彼の顔写真を掲載し、いわゆるイチゲンさんが読んだ場合、必ずしも嘘と見抜けるものではなかった。「騙される方が悪い」と切り捨てるのもいいが、僕が気になったのは、騙された事でネタとして利用された当事者に迷惑が被る、ということだ。有名人だから仕方がない? それとも嫌いなあの有名人がちょっとくらい迷惑を被ることなんて知った事じゃない?
ネタだろうとデマだろうと、そうした情報は一人歩きして、いつの間にか「真実」として人に認知されたりするよね。僕が小学生の頃流行った口裂け女の都市伝説、今にしてみればたわいのないヨタ話だけど、当時の小学校の中には集団下校を余儀なくされたところもあるし、本気で恐怖を感じた人だっていたはず。作り話(または何らかの誤解)によって、相当数の人に迷惑がかかった。
「たわいのない話」かどうかは、それによって何らかの影響があった当事者じゃないと分からない。外野の人が「そんなたわいのないことで怒らなくても」と言うのは簡単だけど、それは自分に何の影響がなかったからであって、ネタにされた人はたまった物じゃない。
自分の身に置き換えてほしい。いくら「これから書くことは嘘(ジョーク)です」と言われたところで、自分の名前を出されてある事ないこと書かれたんじゃ不愉快極まりないと思う。少なくとも僕は「越後屋健太はスーパーの万引き常習犯 ……嘘だけど」と、嘘である事を明確にされても怒り出す。ウェブサイトのタイトルにネタである事が謳われていようと、嘘の部分だけが切り取られて転載(TwitterのRT文化なども含む)され続けていけば、多くの人に誤解が広がる。そしてそこで一番迷惑を被るのは「騙された人」じゃなくて、「ネタにされた人」なのだ。
今回話題となった虚構新聞のネタを「社会風刺だろ」(だから問題視する事じゃない)などという人がいるが、僕には「嘘を免罪符にした他者の発言の捏造」にしか思えなかった。
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