先日の東北地方太平洋沖地震の情報をネットを通して眺めていると、災害に関する情報をTwitterで共有しようなどという呼びかけがあったりして、まぁホントこの人たちは危機感がないなぁ、などと思ったりするわけだ。
自治体でも「Twitterで発信しています」なんてところがあったりして、なんて無駄な事をしているんだろうかと。「電話は繋がりにくいけど、ネットなら何とか繋がる」「ケータイを持っていれば、インターネット情報を見ることが出来る」「Twitterならユーザーも多く、RTで情報を広める事も簡単」あたりが災害時のTwitter信仰理由なんだろうと思うのだけど、私には災害時のTwitter有効性が信じがたい。
速報が広まりやすいが、誤情報も広まりやすい
「災害時は不確かな情報でも速報が必要」などというバカもいるようだが、不確かな情報は不安を煽るだけだし、発言の前後関係を見出しにくいTwitterの構造は、誤情報に対する訂正情報が読まれる可能性が低い。誤情報によって既に起きてしまった行動を中止させる事が困難だ。
情報量は多いかもしれないが、ノイズの量も半端じゃない。危機が迫るときに、本当に必要な情報を選別するコストは馬鹿にならないと思う。
電源が無駄・「ながら」ができない
大災害時に暢気にPCの前でTwitterを見ていることが出来るとは思えず、基本的にケータイによってTwitterのTLを見ていることになると思うのだが。
一台のケータイの画面を大勢で閲覧するとは思えず、多くの人が情報を得るためには、その人数に近いだけのケータイが必要となる。最近のケータイのバッテリは高性能になってきているとは思う物の、ネット接続時のバッテリ消費量は大きい。電池式のラジオなら一台で大勢の人が情報を得る事が出来るが、ケータイを通じたTwitterからの情報では難しい。
「Twitterを見ている人の数」に等しいだけのTLが存在するので、正確な情報を得る事が困難だ。一緒に行動している人がそれぞれ異なる情報を持っているのは混乱の元だ。
また、ラジオによる情報収集ならば、何か他のことをしながらでも良いが、Twitterからの情報収集は、それが難しい。避難行動しながら聴く事の出来るラジオと異なり、画面を見たままで避難行動をとるのは(出来ない事はないかもしれないが)非常に危険だ。
「数分後に大きな津波が来ます」なんて情報を、Twitterから得ているような被災地の人は、まず助からないのではないか。
遠くから見ている人にとっては、リアルタイムで流れてくる大災害の様子を知る事の出来る便利ツールかもしれないが、今まさに命に関わる危機が押し迫っている被災地の人にとって、Twitterはほとんど役に立たないものだと思う。
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- Trackback from Tonapaは席を外しております! 2011-03-17 Thu 13:27
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災害時のTwitterの有用性について、疑問の声が出ている。 これについては私も全く同感。たしかにTwitterはユニークで便利なツールだけど、みんなが賛美しているほどの力は無いように思う。 (前略) ■速報が広まりやすいが、誤情報も広まりやすい 「災害時は不確かな情報で (more…)
- Trackback from WSN Blog 2011-03-17 Thu 18:11
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大災害時のTwitterは役に立たないという記事を読みました。 確かに理屈としては間違ってなかったし 私は被災した経験をしていないので 実際に被災するとそうなんだと思って読んでいたら、最後に 今まさに命に関わる危機が押し迫っている被災地の人にとって、Twitterはほと... (more…)